【顔面神経麻痺】
患者さんは色々な症状を抱えて来院されるが、問診する前から見てすぐに診断できるものの一つにこれがある。
顔面神経麻痺。
多くの場合、難治だ。
50代女性。主婦。
朝起きて、どうも顔の感覚がおかしいので、鏡を見ると…自分でも驚くほどの変貌ぶり。
右目と右の口元は垂れ下がり、幽霊の小岩さんも逃げ出しそうな酷い顔に。
それを見たご主人も違う意味で顔が引きつったとのこと。
さっそく近くの◯◯字病院を受診。そのまま大学病院を紹介された。
長い待ち時間と検査の後、薬を渡され、帰宅。
「この顔が薬で治るのか?」という素朴な疑問はあったもののとりあえず薬を服用。
その日から1週間、目を閉じられないため髪を洗うとシャンプーが目に入り、口を閉じれないのでお茶を飲むと口元からこぼれ、食事もままならず散々だったという。
顔の変形に驚いた知人の勧めで予約を入れ来院。
典型的な顔面麻痺の症状。問診の段階でメンタル的な問題点を見受けられなかった(この酷い状態でも冗談を言えていた)ので、症状改善は早いと判断。
施術は、まず上位頸椎の矯正。
後頭部から首にかけての軽いマッサージ。
後頭部への鍼。
気がつくと患者さんは寝息を立てていた。
治療終了後「顔が悪いのに先生が全く顔を触らないので、不思議でしたが、かなりスッキリした気分です」との感想でお帰りになった。
翌日、報告の電話をいただいた。
顔の変形はあるものの、治療後の夜は、シャンプーで目がしみることがなく、お茶もこぼせずに飲むことができた。とにかく完全に治したいので予約をとのことだった。